みなさま、あけましておめでとうございます。
日本オリーブオイルソムリエ協会理事長の多田より、新年のご挨拶を申し上げます。
未曽有の災禍となった新型コロナウィルス(COVID-19)のパンデミックから3年が経ちました。
先日3年ぶりの協会ツアーで旅したチュニジアでも、もはや誰もマスクを着用せずすっかりアフターコロナといった様相ですが、日本国内ではまだまだ行動自粛ムードが漂い、またインフレの影が忍び寄る少々世知辛い年の瀬・新年となりました。
協会の事業関係では、3年連続で新規受講者数が前年を下回り、好調なエントリー数の増加に支えられるコンテスト事業とは明暗を分けました。好調だったオリーブオイル市場も、円安や世界的な作柄の不安定化と2022年シーズンのさらなる凶作で大幅な単価の上昇にさらされており、市場環境は厳しさを増しています。
こうした中で、わたしたちの役割はますますその重要性を増すものと考えています。つまり、良質なオリーブオイルの普及と啓蒙を図ること、これこそが貴重な天恵であるオリーブオイルを日々の暮らしによりよく生かし人々のQOLの向上に直結していくものだからです。市場がしぼむことのないよう、また欺瞞や偽装に覆われることの無いように、さらなる施策をもって取り組む一年としたいと考えています。
講座の運営に関しましては、少しずつコロナ前の開講体制に戻すことと受講者層の拡大に努めることに集中してまいります。4月頃に見込まれる感染症の指定見直しがその一つの大きな契機になるものと考えています。一方で、昨年からの円安や原油高等による資材や印刷費の高騰が続くことから、春頃をめどに基本コースの受講料金の改定を行う予定です。ジュニアソムリエ、ソムリエコース等の受講料は、2014年4月に改定して以来、8年間にわたり据え置いてまいりましたが、今般の急激なコスト増は従来の受講料体系で吸収することが難しく、やむなく料金の改定をお願いすることとなりました。なお、本改定に伴い、長年の懸案であった受講料金の支払いについてのクレジットカード決済(一部講座を除く)をスタートさせる予定です。
コンテスト等の関係では、海外の審査員が戻ってくることから本格的に「風味インデックス®」の海外生産者向け告知を開始する予定です。これまでコロナ禍もあって本格的な認知啓蒙ができませんでしたが、いよいよ海外向けの告知を経て本格運用です。
また2023年は久しぶりにコンテストを4月開催に戻せることから、早めの受賞者発表ならびにマーケットイベントの開催を企画しました。特にOLIVE JAPAN® SHOWは初のゴールデンウィーク中の開催を予定し、さらなる集客ならびに告知に努めます。
パンデミック期間中における海外生産地とのリンクの希薄化については、産地から遠い日本の地理的な特性からやむを得ないものとは言え、懸念された課題の一つでした。オリーブの世界で「国際社会」に早く復帰したい、という願いは、パンデミックの期間中に感じた最も強い想いの一つでしたから、日本の入国規制が緩和された2022年12月にはいち早く、延期となっていたチュニジアへの視察団ツアーを再開、多くの参加者のご参加を得て重要な産地であるチュニジアの生産者たちとの親交を深めることができました。本年度はさらに多くの産地を回るツアーを企画して、その空白の期間を埋めてまいりたいと考えております。
自由に講座を受けたり、海外の産地を視察することができなかったときがあったからこそ、それができるようになったいま、そうした時間を持てることがいかに貴重でかけがえのないものであるかを痛感します。私たちは、そうした貴重な時間をつくりそれをさらにかけがえのないものにしていく最大限のお手伝いを、オリーブを通じてこれからも行ってまいりたいと願っています。
2023年元旦に。
一般社団法人日本オリーブオイルソムリエ協会
代表理事・理事長 多田 俊哉