皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
新型コロナウィルスによる隔離や検疫、そして自粛により事業活動の多くが瀕死の危機にあえいだ2021年を乗り越え、それでも前を向いて歩む力を振り絞って新しい年を迎えられた方も多かったかと存じます。協会としましても、新しい年こそ暗闇を照らす一筋の光を頼りに多くの皆様のお役に立てる事業にさらに意欲的に取り組んで参りたいと考えております。
本年の大きなテーマは、孤立と断絶からの復帰です。
消費するオリーブオイルの実に99%以上を輸入に頼る日本では、生産各国との緊密なリンクは欠かせません。日本オリーブオイルソムリエ協会では、これまで機会あるごとに海外への視察交流ツアーを実施し、生産各国政府や大使館との連動を積極的に展開し、またスペインやイタリアなどの主要生産地でのトレードショーやイベントに参加して講演活動やその事業支援などを行ってまいりました。
電子デバイスの発達が、リアルの人と人との交流が無くても一定のコミュニケーションを支援してくれることは、この2年間の経験で獲得できた数少ない収穫ではありますが、それでも会って話して、あるいは文化に肌で触れて得られる情報に勝るものはありません。また、多くの生産地において、消費地である日本の存在感を高める活動こそが、安定的に高品質のオリーブオイルを調達することを可能にしていきます。ともすると国内に籠りがちな日本や日本人の在り様を、オリーブオイルの世界においてはいち早く開放していかなければ、孤立は深まるばかりという危機感をもって、前のめりに様々な企画を打って参りたいと考えています。
具体的には、2月のチュニジア・スファックス地区への視察ツアーを皮切りに、スペイン(バレンシア州及びアンダルシア州など)、イタリア、ギリシャなどへの視察ツアーやイベントへの参加を企画中です。
さらに、現地に赴く以外にも、海外から生産者を招き産地セミナー開催やOLIVE JAPAN®国際オリーブオイルコンテストに連動したイベントやトレードショーなどを再開させていきたいと考えております。
講座や講演活動においては、オリーブオイルソムリエ®としての「生産者」をテーマに、オリーブオイルソムリエ®ならではのオリーブオイル生産者として何ができるか?を支援できる講座などを強化してまいりたいと考えています。具体的には一昨年初開講を行った「オリーブオイルブレンダー®養成講座」を早いタイミングで再開させ、さらに、昨年導入した「オリーブオイル風味インデックスTM」を自分で認証できる、つまり、国際オリーブオイルコンテストなどで優れた賞を受賞できるような評価基準を生産者自身が身に付けることのできる評価者養成講座などを新規開講していく予定です。
これらの講座は、「生産者」向けであると同時に、広くオリーブオイルソムリエ®として身に付けるべき専門的な技術を涵養できるものとして、多くの会員の皆様に楽しんで学んでいただける講座になるものと考えています。
生産地とのより緊密な血流を再開させ、孤立と断絶から「社会復帰」するとともに、日本国内でも休止した地方開講をなるべく早期に復活させながら、多くの人たちがさらにオリーブオイルの素晴らしい世界に触れることができますよう、引き続き努力を重ねていきたいと考えています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人日本オリーブオイルソムリエ協会
代表理事・理事長 多田 俊哉