皆さまには、健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
新しい元号「令和」となって初のお正月、日本オリーブオイルソムリエ協会も、その創立から数えると早15年となりました。ここまで続けてくることができましたのも、ひとえに会員の皆様を始め、協会を支えてくださる多くの関係者やスタッフの皆様のおかげに他なりません。改めまして皆さまのご支援に深く感謝申し上げます。
世界各地のオリーブ産地に訪問したり招聘されたりの日々を続けておりますが、どの産地を訪れても必ず目にするのは、農業を続けていくことの難しさ、そして農業経営環境を取り巻く厳しさに他なりません。特に毎年のように起こる気候変動による作柄の不安定化は、零細な農業者の経営を深刻に圧迫し、安定生産への対策が急務であることを想起させます。その一方で、あらたな市場拡大を目指して、オリーブ生産に参入する農業者もいて、輝かしい未来への希望を熱く語る光景にも多く遭遇します。
色褪せた慣行的生産流通に縛られた日本の農業の縮図は、実は世界各地でみられることに今さら驚きもありませんが、希望に燃えるあらたな農業者たちに共通する現状打開の合言葉こそ、『品質』の2文字であることを、消費者側である私たちもより真剣に受け止めなければならない時が来ていることを痛感させられます。私たちオリーブオイルソムリエ®が、ここで何ができるのか?
おそらく、これまで以上に果たさなければならない役割、いや責任とでもいうべきものは増えており、そのキーワードは、ものづくりの源流である「産地」にあることを強く意識しなければならないのだと考えます。ひたすら真面目に、そして途方もない労力を惜しまずに優れた商品を生む出す生産者たちを全力で守り、彼らが生み出す素晴らしい宝物を守り後世に伝えていくことこそ、私たちオリーブオイルソムリエ®こそが果たすべき責務に他なりません。
2020年は、この意識に立ち、「産地」そして「生産者」にスポットを当てた活動に注力してまいりたいと考えるところであります。流通側が生産者の情熱をきっちりと消費者に伝えていくために、昨年創設した「日本オリーブオイルソムリエ協会認定オリーブオイルアドバイザー™」講座は、地方開講展開も含めさらに拡充してまいります。また、生産者に向けては、従来の生産栽培者講座「マスターグロワーコース」(2020年2月開講)、搾油講座「マスターミラーコース」(2020年10月開講予定)を継続して開講するとともに、新たなコースを開設いたします。オリーブオイルの優れた風味を理解し、また風味を「創る」価値を最大限に高めるために、いわばオリーブオイルソムリエ®としての風味の研究の集大成とでもいうべきその新講座は、「オリーブオイルブレンダー™コース」の名称で、2日間にわたって開講するプログラムを準備しています。(初回開講は、2020年7月〜8月頃予定) 国内や海外で、搾った原オリーブオイルの各バッチロットをブレンドし、最適な風味のブレンデッドエキストラバージンオリーブオイルを作る業務に従事される方を対象とし、また日々調理や食卓の現場で複数のオリーブオイルを使いこなし、使い分けを行うオリーブオイルソムリエ®の皆さんにも楽しく学んでいただけるような講座として設計する予定です。
もちろん、私たちのオリーブオイル啓蒙活動の基幹であるジュニアオリーブオイルソムリエ®コース、オリーブオイルソムリエ®コースなどの基本のコースについても、さらにたくさんの皆さんにご受講いただけるような施策を展開してまいります。
皆さまのさらなるご支持、ご支援に感謝しつつ、協会の業務に邁進していく決意とともに新年のご挨拶とさせていただく所存です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
一般社団法人日本オリーブオイルソムリエ協会
理事長 多田 俊哉