皆さまには、どのような新年をお迎えでしょうか?
日本オリーブオイルソムリエ協会も、10回目の記念すべきお正月を迎えることができました。これもひとえに会員の皆様を始め、協会を支えてくださる多くの関係者やスタッフの皆様のおかげに他なりません。改めまして皆さまのご支援に深く感謝申し上げます。
毎年この年頭のご挨拶でも申し上げておりますが、オリーブオイルの品質や販売現場をめぐる混乱は以前として改善されず、むしろますます混迷の度合いを深めています。オリーブオイルの販売に携わる個々の企業体や地域地域の生産者が、相互にライバル意識を持って品質を高めるのであれば消費者にとってこれほど歓迎すべきことはありませんが、相互ににらみ合いながら覇権の確保にいそしみ品質のプロモーションや実際に販売される商品の品質向上が二の次では、市場の発展はあり得ません。
事実2016年頃まで続いた急成長は頭打ちとなり、以来1年以上も市場拡大の停滞は続いています。この厳然とした事実をすべての市場関係者は深刻に受け止めなければなりません。なぜオリーブオイルの市場拡大はストップしたのか?その答えは意外と簡単なところに見つけることができるでしょう。なぜなら、消費者は「不味い」ものは買わないからです。どれほど商品のラベルに「もっともらしい」ことを書き添えても、誇らしげに酸度などの意味の希薄な記号を並べてみても、肝心の商品の中身がひどい欠陥臭や酸っぱい風味では、消費者の食卓に継続的に上がることは無いのです。
不幸にも、その商品特徴や価値の主要な半分以上を占めるその優れた風味が、品質を偽装された多くの粗悪品の前に、オリーブオイルの真価を消費者に理解してもらえる前に市場の拡大が終わる、という大変危機的な状況のさなかにあります。このままでは、日本の食卓にあの素晴らしいオリーブオイルの風味が普及することなく終わってしまう、そんなことがあってよいのでしょうか?
いまこそ私たちオリーブオイルソムリエ®やオリーブオイルアドバイザー™たちが学んできたことを少しでも多く消費者に伝え、オリーブオイルの真価を伝えなければなりません。市場の拡大に胡坐をかき、あるいは品質向上の努力もせずに市場の拡大だけにあやかった邪な勢力を排除し、ひたすら真面目に、そして途方もない労力を惜しまずに優れた商品を生む出す生産者たちを全力で守らなければなりません。
2018年は、こうした想いで継続的に講座を開講する傍ら、消費者に向けた接点を拡大する試みを施策としていくつも実行してまいりました。そして2019年は、さらにこの想いを具現化してまいりたいと考えています。設立10年の記念事業として新たに開設した「オリーブオイルアドバイザー™」講座は、4時間の講座学習でオリーブオイルの主要なポイントが効率的に学習できると大好評です。またソムリエになった皆さまからも絶好の復習の機会になったという感想を頂戴しております。何よりも、オリーブオイルを知る「専門家」の間口を広げ、学ぶハードルを下げることがの主な狙いです。より多くの方々にオリーブオイルの真実を知ってもらわなければなりません。そして昨年からの懸案は「品質認証」です。日本オリーブオイルソムリエ協会という、オリーブオイルに商業的に関与しない中立の第三者専門機関にとって、消費者ユーザー向けの個々の商品の品質プロモーションとして、どんな形がふさわしいのか?また効果的なのか、今年はじっくりと向き合ってまいりたいと考えています。
皆さまのさらなるご支持、ご支援に感謝しつつ、協会の業務に邁進していく決意とともに新年のご挨拶とさせていただく所存です。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
一般社団法人日本オリーブオイルソムリエ協会
理事長 多田 俊哉